横浜市長選挙2025|VTuber起用を核にした若年層向け総合プロモーション

固定観念を破る企画と、厳格なIP・多媒体管理を両立した横浜市長選挙の広報啓発
横浜市長選挙2025 広報啓発プロモーション
2025年横浜市長選挙の広報啓発において、企画立案、啓発キャラクターの選定・提案、クリエイティブ制作、特設Webサイト、動画、SNS、Web広告、屋外・交通広告、各種啓発ツールの制作・運用を担当しました。
今回の目的は、選挙に関する情報が届きにくい若年層に、選挙を「自分たちの暮らしに関係すること」として認識してもらい、投票を考えるきっかけをつくることでした。
横浜市も、若年層に高い人気を持つバーチャルライバーを起用し、その個性を活かしたデザインを、市内ターミナル駅、みなとみらいの動く歩道、Webポータルなど、多様な媒体で展開しました。
若年層に届かない理由を、「若者は選挙に関心がない」と単純化しない
弊社が重視したのは、若年層の投票率という表面的な数字だけではありません。
テレビを持たない、ニュースに触れる時間が少ない、行政からの情報が普段利用しているメディアの中に流れてこないなど、若年層の日常的な情報接点と、従来の選挙広報との間にある分断に着目しました。
そこで、単に若々しいデザインに変えるのではなく、若年層が日常的に触れている文化やコミュニティの中から、より効果的な啓発キャラクターの起用の提案しました。
これは、VTuberの人気やフォロワー数だけに依存したキャスティングではありません。
キャラクターの個性、普段の配信スタイル、ファンとの関係性、SNS上での会話の生まれ方まで理解し、「誰が、どのような言葉で伝えれば、選挙が自分ごととして届くのか」を設計したものです。
広告を見せるのではなく、市民が自ら話したくなる状態をつくる
選挙啓発の情報は、行政が一方的に発信するだけでは広がりません。
今回のプロモーションでは、ファンや市民がポスター、街頭広告、投票証明書などを撮影し、自らの言葉でSNSに投稿できるよう、話題性と参加性を意識したクリエイティブを設計しました。
特に、参議院議員選挙と横浜市長選挙の2回の投票証明書をつなげると一つのビジュアルが完成するデザインは、単なる記念品ではなく「投票したことを共有したくなるメディア」として機能しています。
その結果、横浜市民や、作家、芸能人など、VTuberファンの枠を超えた多様な横浜市民の人々によるUGCが発生。約5,000件以上の投票証明書や啓発についてのSNS投稿がありました。
◆数字で見る成果
発表関連SNSでの3投稿の反響
横浜市選挙管理委員会の公式投稿と、起用ライバーによる関連投稿3件の合計で、次の反響を記録しました。
・インプレッション:1,309万回
・リポスト:4.1万件
・いいね:15.5万件
・ブックマーク:5,562件
・エンゲージメント合計:205,562件
・表示回数に対する単純エンゲージメント率:約1.57%
※ここでいうエンゲージメントは、発表関連3投稿のリポスト、いいね、ブックマークの合計です。
◆広告換算の参考試算
上記のエンゲージメントを、X広告の一般的なCPM・CPCを用いた参考試算
・インプレッション換算:約654万円
・エンゲージメント換算:約617万円
・参考広告価値:約600万〜650万円規模
制作物について
- 厳格なIP管理と多媒体制作を両立する実行力
IPホルダーの厳格なクリエイティブガイドライン、行政広報としての確認要件、媒体ごとの入稿仕様を同時に満たしながら、多数の制作物を一貫した品質で期限内に展開しました。
今回の制作物は、A4からB0までのポスター、交通広告用差分、案内チラシ、横断幕、懸垂幕、フラッグ、ホームドアシート、プラカード、投票証明書、Webバナー、特設Webサイト、PR動画など、多岐にわたりました。
媒体が増えるほど、次の管理が複雑になります。
・IPホルダーが定めるクリエイティブガイドライン
・キャラクターの見せ方や使用範囲
・行政広報としての表現確認
・媒体ごとのサイズ、比率、解像度
・視認距離に応じた文字サイズと可読性
・印刷物、プラスチック、デジタル媒体間の色差
・修正履歴と最新データの管理
・複数関係者による確認・承認スケジュール
・動画放映場所の音声あり、音声なし双方への対応
企画やデザインだけでなく、これらの条件を統合し、制作物を完成納品しました。
また、毎週の定例ミーティングで制作物と進捗を共有し、複数の確認主体が関わる案件を進行しています。

制作物(抜粋)A4ポスター
お二人の公式の宣材写真を使用したメインビジュアルです。背景のアクセントに、お二人のライバーカラーから緑と青を採用しています。

案内チラシやデコレンタ、ステッカー、横断幕
メインビジュアルを展開した案内チラシや、ステッカーなどの啓発ツールです。媒体に合わせてそれぞれ視認性や可読性を考慮したデザイン展開を行っています。

啓発PR動画
横浜市公式YouTubeでご覧いただけます。
若年層にしっかりみていただきたいので軽快テンポのやり取りに仕上げています。
また、成人には誰にでも投票権があることに当事者意識を持っていただくこと、
SNSやYouTubeで、特に「ゲーム実況」が身近な若年層に、ライバーさんの普段の活動の動画配信中風の動画に仕上げました。
様々な媒体で放映されるため、音がなくてもしっかりと内容が読み取れるテロップ演出をしています。
©︎ANYCOLOR, Inc.
特設サイト
アクセシビリティ、情報に考慮して制作しました。SEO対策も実施しています。

投票証明書
参議院議員選挙と近い日程で選挙が続くことから、2回投票を完了すると完成するつながるオリジナルデザイン仕様の投票証明書です。
スマホケースや財布などで持ち運びしやすい名刺サイズです。
合わせるとメインビジュアルのように、背中合わせでピッタリとつながります。

掲出の様子
市内の各所に横断幕や懸垂幕、ポスターが掲出。どこからでも視認性・可読性を考慮したデザインです。

市内に掲出された横断幕やポスター(桜木町駅前・みなとみらい駅)

「にじさんじ×横浜マリンタワー『Kアリーナ横浜公演記念コラボ』では展望台フロア・館内に選挙ポスター掲出・動画を放映
開催期間: 2025年7月17日(木)~2025年7月23日(水)
◆こぼれ話◆
皆さんは選挙に行くきっかけや、選挙の情報を知るのは何でしょうか。
通勤時の駅の広告やポスター、投函される投票案内のチラシやハガキ、CMやウェブでの呼びかけなどなど、昨今たくさんの呼びかけがある中でも、若年層の投票率の低さはいつもニュースにあがっています。
「啓発」という言葉の意味を調べてみると
”新たな知識や気付きを与えて、人を教え導くこと。とりわけ、普通はなかなか気づきにくい事柄について、その道の専門家が教え、気づきや理解を与えること。”(実用日本語表現辞典)
とあります。そもそも選挙をやっていること自体知らない人や、興味のない方に、気づいてもらうこと、意識していただくことが重要と考えました。
ただ、気づいていただくだけでは、行動を起こしてもらうことまで繋がらず全然足りないのでは。と問題意識がありました。
そこで今までの選挙広報の形を破る新しい施策になればと、「横浜にゆかりのある啓発キャラクター」としてVtuberのお二人にご協力をいただいたことで、結果として市長選挙の投票率としても実質歴代2位となる2回目の40%台の投票率という結果を残しました。(統一地方選から分離され、単独市長選開始の1978年以降、衆院選と同日だった2009年を除く)
過去の選挙啓発とは、ガラリと方向性が変わりびっくりした方も多いのではないでしょうか。
「いいじゃん」「何で?」「びっくりした」と様々な感想を持って、興味を示していただけたのであれば、弊社も嬉しく思います。
今回弊社での裏テーマは若年層における「SNSでの話題化」でした。
狙おうと思っても「バズる」ことはなかなか難しいことですが、年齢の壁を超えて、選挙の話題が気軽に家族や友人と共有されるきっかけになればと、関係者一丸となって取り組みました。
結果として、たくさんの方にSNSで反応いただき、期日前投票も途中過去、前回選挙を上回るペースで推移するなど反響がありました。
多大なるご理解・ご協力、尽力をいただいたすべての関係者の皆様に感謝申し上げます。
